法科大学院(以下、「LS」と略します。)に入学して1年半が過ぎました。
せっかくの機会なので、LS生活の1年半を振り返ってみようかと思います。
LS生の日常
LSへの進学を考えている方で、最も気になるのは予習復習の量ではないかと思われます。巷でよく言われているソクラテスメソッドに対する恐怖や、期末試験での失敗によって留年になるのではないかとう不安から、どれだけ予習・復習をすればこれらの恐怖や不安に打ち勝つことができるのか?という疑問ではないかと。
その疑問に対するワタクシからの回答をお示しする前に、ワタクシがとっていた授業の時間割をお示ししたいと思います。
1年目の時間割
下の図は、本学のL2(既修1年・未修2年)次の時間割です。
前期は必修科目が多く、選択の幅があまりありません。これに対して、後期の方は必修科目が減り、選択科目の幅が広がります。
もっとも、取得単位数に上限が設けられております。
一応、上限まで申請し、取得しております。そのお陰で、L3(既修2年・未修3年)次の前期は再履修はなく、司法試験の勉強にも時間を割くことができました。
ちなみに、本学の場合、法曹コースで入学すると、一般入学とは異なり初めから免除される科目数が多いことや取得単位数の上限もさらに多く設定されているという特典があるようです。
予習復習の量
次に、多くの方が気になる予習復習の量について紹介したいと思います。一例として参考程度にして頂ければと思います。
予習について
ワタクシの場合、予習に圧倒的な時間を割いていました。ですが、全ての科目について満遍なく予習をしていたわけではなく、科目ごとによって濃淡はあります。
前期の場合、予習に多くの時間を奪われたのは、
- 憲法(必修)
- 民訴(必修)
- 商法(必修)
- 民事実務(必修)
の4科目でした。
上の2科目は、読まなければならない判例の量が多かったこと、特に憲法は個別意見まで読んでこいとの指示で非常に厄介でした。さらに、ランダムに指名されるため、予測可能性が与えられなかったので、予習を怠るとソクラテスに耐えることができませんでした。ですので、予習は欠かさずに行っていくことが求められました。
下の2科目は、個人的に好きな科目だったのであまり苦ではなかったのですが、商法は事例演習教材の問題を解いていかねばならなかったこともあり、結構時間を奪われました。
もっとも、民訴や商法は司法試験や予備試験の問題を授業で取り扱うこともあり、その勉強は試験対策にもつながったので無駄ではなかったと思います。
上記以外の科目は、殆ど予習をしませんでした。特に刑法と刑訴は全くやっておりません。というのも、他の科目はソクラテスをされる心配がなかったこと、されるにしても予測可能性が与えられていたので、自分が当たるときに予習を行なっていけば耐えることができたためです。
つぎに後期で予習に多くの時間を奪われたのは、
- 商法(必修)
- 民訴(必修)
この2科目です。といっても、この2科目は前期とは別の先生が担当だったので、予測可能性は与えられていたのですが、当たるとかなり細かいところまで踏み込んだ質問をされるので、粒度の粗い予習では耐えられず、しっかりと予習をしていく必要がありました。
また、上では挙げておりませんが、前期、民法の予習を真面目にやっていかなかったということもあり、期末試験で苦労したので、後期は毎回民法の予習をしていくようにしました。とはいっても、基本書や判例を読み込んだりといった勉強ではなく、レジュメに掲載されていた事例問題の答案を作成して授業に臨んでいたという程度ですが。
この事例問題、毎回、回答者が事前に指名されるのですが、この回答者が作成した答案と自分が作成した答案とで異なる点があった場合には授業後に先生の元にいき質問をしていました。
復習について
続いて、復習についてです。
復習は、実は殆どやっておりません。授業で聞いてわからなかったところや疑問に思ったところはメモしておいて、授業後に質問したり、基本書や判例を読んだりしていたという程度です。
まとまった復習は、定期試験の前に行なっておりました。
といっても、授業で扱った司法試験や予備試験の問題、判例やレジュメを読み返すぐらいのことです。
授業の復習に時間をかけるくらいなら、司法試験や予備試験の過去問をやった方がいいと思っていたので、こういうスタイルをとりました。
定期試験対策
上記の通り、L2(特に前期)というのは、受講しなければいけない授業数が多いため、定期試験の勉強をどうしたらいいのかというのも悩みの種になってくるかと思います。必修を複数落とせば留年にリーチないし確定してしまうため、気が気でないですよね。
先ほども少し定期試験の勉強について触れましたが、もう少し掘り下げて紹介しようと思います。
定期試験を乗り越えるためには、やはり定期試験の過去問が重要です。これは先輩方から手にいれるのが近道です。手に入れた過去問を分析して、出題者の傾向やクセを掴むことは必須です。
ワタクシは、上記の分析を綿密に行なった上で、ある程度アタリをつけて試験勉強に臨みました。予想が的中した科目もあれば、外した科目もあったのですが、それでも単位を落とすことなく進級できたのは、過去問分析をしっかり行なった上で勉強をした結果だと思っています。
LSで生き残るためには、先輩をうまく使うことです。最終的には「自分自身がどれだけ勉強したか」に関わってきますが、先輩方をうまく利用している人は効率よく単位を取得しています。また、同期とも普段から仲良くしておくことです。自分が持っていない情報を持っていたりするので、情報交換をしていけば一人だけ情報弱者になるということはなくなります。
ただし、一部のLSでは騙し合いがあったりするようなので、注意は必要です。幸い、本学にはそのような輩はおりませんでしたが。
答案作成について
ところで、当該教員が採用している説に従って答案を書かなければ単位がこないという話を時々聞きます。
本学の定期試験では、見解指定型の問題が出題される科目がありますが、それは司法試験でも同様の問題が出題されているため、司法試験に合わせにいったものであって、決して当該教員の見解を押し付けるという意図のものではありませんでした。
また、成績評価自体辛めな先生がいます。その先生については、その先生が採用している見解に立って論述しないと高い評価は望めないという噂が学内で伝えられていました。
ワタクシは、その先生が採用している見解を詳しく知らないので、判例通説に従って、正面から問いに答える姿勢を見せて答案を書いたところ、最高評価を頂きました。周りの人の話も聞く限り、よっぽど頓珍漢な答案を書いていない限り、単位は出している印象です。
単位を落とした方々を見ていると、その科目を苦手としている(基礎知識の理解が不十分である)ために頓珍漢な答案を書いてしまったのではなかろうかと推察しています。
先ほど、先輩をうまく使えという話をしましたが、先輩の話を盲信してしまうのも危険ですので注意しましょう。
健康管理について
定期試験のために、体調を崩してしまうという話は学内外でもよく聞きます。単位を落としてしまう、あるいは、留年が確定してしまうのではないかという不安やプレッシャーからくるものが主な原因のようです。
本学でも、食事が喉を通らず、激痩せしてしまったという人や、逆にストレスで食に走ってしまい太ってしまったという人もいます。人によって違いはあると思いますが、やはり強度のストレス状況に置かれることは間違いなさそうです。
ストレスを感じるな、というのは無理なことですが、
- 睡眠はきちんととる
- 食事も可能な限り摂るようにする
- 規則正しい生活を心がける
これはとても重要なことだと思います。課題が終わらない、予習が間に合わないといった理由から、睡眠時間を削るという行為になりがちですが、これを続けていると健康状態が悪化していくので体調を崩しやすくなります。ある程度の「割り切り」と「諦め」も肝心です。全てをとりにいこうとすると、結果、全てを失うといったことにもなりかねませんので、優先順位をしっかりとつけて取り組むことが肝要です。
念の為に付言しておきますが、ここでいう「全てをとりにいく」というのは、予備試験の最終合格を狙いにいきつつ、LSの成績の最上位を狙いにいくという意味です。
受験対策について
予習・復習の量と同じくらい気になる疑問点として、試験勉強の両立をどうすればいいか?というものがあるかと思います。
LSに進学する理由は、圧倒的大多数の方は受験資格を得ることにありますからね。
一番気になる!という方もいらっしゃるかもしれませんが、LS生活と受験対策をどのように両立していたかの話については、稿を改めたいと思います。LS授業の対策の話が思いのほか長くなってしまったので。
最後に
在学中受験制度が始まった関係で、L2は、最も大変だと言われています。
この、最も大変な時期を乗り切るには、
- 先輩をうまく使うこと
- 体調管理には可能な限り気を付けること
- 全てをとりにいかないこと
であるというのがワタクシの意見です。
人によっては違う意見をお持ちの方もいらっしゃると思います。ですので、一つの意見として参考にしていただければ幸いです。
それでは!