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2021年度司法試験予備試験の短答式試験の結果報告

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2021年5月16日に、2021年度の司法試験予備試験の短答式試験が実施されました。

Twitterでは報告しておりましたが、同試験を受験してまいりました。

司法試験予備試験とは

司法試験はご存知の方も多いと思いますが、その予備試験とは何なのか?についてはご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんので説明いたします。

司法試験予備試験は,法科大学院を経由しない者にも法曹資格を取得する途を開くために設けられた試験で,これに合格した者は,法科大学院修了者と同等の資格で司法試験を受験することができます。

法務省:令和3年司法試験予備試験に関するQ&Aより引用)

法科大学院制度が始まる前に実施されていた以前の司法試験(いわゆる「旧司法試験」)時代は、大学卒業又は大学で一定の単位を取得した人は、二次試験の短答式試験から受験することができました。(所定の免除要件を満たさない人は、一次試験から受験しなければならなかったのです。)

そして、二次試験は

  • 短答式試験(憲法・民法・刑法)
  • 論文式試験(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法)
  • 口述式試験

と三段階に分かれておりました。これら全てにパスして、初めて司法修習生になる資格を得ることができたのです。

それが法科大学院制度の導入によって、新司法試験(現在では「司法試験」になっていますが、ひとまずここでは旧司法試験と区別するために新司法試験としておきます。)がスタートしました。

この新司法試験を受験するためには、大学卒業後に法科大学院に進学し、卒業をすることが必要でした。そして、新司法試験では、

  • 短答式試験(公法系・民事系・刑事系)
  • 論文式試験(公法系・民事系・刑事系・選択科目)

という試験になったのです。その後、変更が加えられ、現在の形になっております。

一方、旧司法試験がその歴史に幕を下ろしたのと入れ替わって、司法試験予備試験が開始されました。

短答式試験を受験してみた感想

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さて、ここからは実際に受験してみての感想を綴っていこうかと思います。

試験当日の流れ

試験時間は科目によって異なります。

  • 民事系(民法・商法・民事訴訟法)90分
  • 公法系(憲法・行政法)60分
  • 刑事系(刑法・刑事訴訟法)60分
  • 一般教養 90分

となっております。科目間の休憩時間もありますので、1日がかりの試験です。

旧司法試験時代の短答式試験は午後からスタートだったので半日でしたが、その代わり休憩時間がなく3科目3時間半をぶっ通しで受けるという形式だったため、終わったあとの疲労度は尋常じゃなかったのですが、休憩時間があったため、旧司法試験の短答式試験よりは疲れませんでした。

「旧司法試験よりは…」というあくまで相対的な感想です。もちろん試験後はそれなりに疲れました。

科目ごとの感想

続いて、各科目の感想です。

民事系(民法・商法・民事訴訟法)

まずは民事系です。

回答の順番ですが、オーソドックスに問1から解いていきました。

民法ですが、解答時間25分。難易度ですが、前年度の問題に比べて易化したのではないかと感じました。

商法は、過去問を解いていた中で一番ムラが出てしまっていた科目でした。というのも、普段から仕事で会社法に触れていること、これまでも実務で会社法を散々使ってきたという経験からあまり勉強時間を割かない傾向があったためです。ですので、自分が取り扱ったことのある分野については特に勉強しなくとも安定して点数が取れるのですが、あまり馴染みのない分野での出題が続くと点数が伸びない傾向がありました。

今年の問題は、実は半々といった感じでした。ですので、あまり点数は伸びないかもと現場では感じておりました。

ちなみに、商法の解答時間は30分でした。

民訴法は民事系の中で最も手応えを感じることができませんでした。

条文知識が問われているなというのは分かったのですが、自分の条文理解が甘かったということが露呈した結果だと思います。

結果、フルに時間を使ってしまい、35分かかりました。

公法系(憲法・公法)

公法は今年一番難しかったと思いますし、他の受験生も、予備校もそのように評価しておりました。

解いていて判例の理解が甘いなというのがよく分かりました。

行政法は総論分野の理解、そして判例の理解が甘いということがよくわかりました。この点については、普段の勉強から分かっていたことではあったのですが、本試験までに修正することができていないという結果ですね。

公法系は10分ほど時間が余ったのですが、全然手応えを感じることができず、危機感が募るのみでした。

刑事系(刑法・刑事訴訟法)

お昼を挟んだ後、最初の科目の刑事系です。

刑事系は本当に時間ギリギリになるのでスピード勝負です。快調に解答していきましたが、あまり手応えを感じることができず……

特に刑法は最後の追い込みが十分でなかったことが仇になってしまいました。

刑訴法については、しっかり追い込んでいたつもりだったものの、見慣れない分野が出てきたり、伝聞証拠の理解が不十分だったりとやはり手応えを感じることができませんでした。

時間は本当にギリギリで、60分フルに使っての解答になりました。

一般教養

最後の科目、一般教養です。

正直、全く勉強していなかったということもあり、得点できるかどうか不安でしかありませんでした。

自分のなかでは、18点取れればいいかなと思っていたで…

人文科学と社会科学の分野で確実に得点できると思われる問題を選択して解答しました。数学で1問解答できそうな問題もあったので数学も1問解いておきました。

全く勉強しなかった理由の一つに、「一般教養なんて対策する必要ありません。法律科目で8割取ればいいんです。」という趣旨のことを仰っていたこともあり、何がでるかわからない一般教養に時間を割くぐらいなら法律科目の勉強した方がいいなと思って勉強しなかったわけですが、これは「半分嘘で半分真実だった」なと今では思います。

来年以降も短答試験では一般教養がありますが、来年は一般教養対策もしようかなと思った次第です。

なお、今年英語も解きましたが、来年以降は英語は解くつもりはありません。ただでさえ法律科目で頭が疲れ切っているのに、あの難易度の英文を読んでも点数に結びつかないだろうと思ったからです。

短答式試験の結果

短答試験の合格発表は掲示では行われず、Web上で、午後5時ごろからの発表となっておりました。

というわけで、翌日以降の勉強の方針を考える必要もあるので、覚悟を決めて確認してみました。

はい。合格点を獲得することができたようで、自分の番号が掲載されているのを確認することができました。

さいごに

今年の短答の反省点を挙げるなら、短答試験用の六法を使わなかった点です。

LECから出ている完全整理択一六法や

Wセミナーから出ている逐条テキスト

といったものです。

全科目揃える必要はないと思いますが、訴訟法は持っておくべきだったなと思いました。

次回受験する際には購入しようかと思っております。

旧司法試験で論文試験を経験しているので、短答合格後から論文試験までの間の辛さも経験しております。

上の通り、特に今の自分は筆力が当時よりも圧倒的に下がっているので、途中答案になる危険性が非常に高い状況です。あと1ヶ月で答案を書き切れるレベルにまで筆力をあげることができるのかという課題と、基本的な論証をしっかりと覚え込まなければならないという課題があります。

恐怖と苛立ちとの闘いです。

というわけで、次は論文試験後の更新になるかと思います。

それでは!