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2022年度の予備試験の論文式試験を振り返る

早いもので2022年の大晦日を迎えてしまいました。

先日、2022年の試験の結果と2023年に向けて書いた記事を公開いたしましたが、そこでは予備試験の論文式試験の反省点については記載しませんでした。

2023年を迎える前に、振り返ってしまおうと思いまして、本稿を執筆しております。

論文試験の概要

2022年は7月9日と10日の二日にわたって実施されました。

しかしながら、2023年は9月9日と10日に実施されることとなっております。

おそらく、ロースクール在学中でも司法試験が受験可能となったことと関係がありそうです。

もともと、司法試験の短答試験と予備試験の短答試験は重複する問題があるため、不正防止のために同日に実施されております。

そのため、司法試験の実施を7月にしたことで、予備試験もそれに合わせてスライドしたものと考えられます。

話が脱線しました。

2021年度の試験までは、法律科目に加えて一般教養の論文試験もありました。

ですが、2022年度からは一般教養は論文試験から外され、かわりに選択科目が導入されることとなりました。

そういうわけで、2022年度は、選択科目導入元年となったわけです。

なお、2022年度の試験では、試験会場は以下の3ヶ所が指定されておりました。

  • TOC五反田
  • TOC有明
  • TKP東京駅日本橋カンファレンスセンター

自宅から一番楽なのは五反田だったので、五反田になるといいなと思っていたのですが、希望通り五反田になりました。ただ、住所での割り振りではなく、選択科目の科目によって割り当てられたようです。

自分が選択していた知財法や、倒産法を選択された方々は五反田だったようです。

また、Twitter上の情報ですが、国際私法を選んだ方は日本橋だったようです。

またまた話は脱線しますが、TOC五反田、どうやら2027年の竣工を目指して2023年に解体作業を開始し、建て替えがされるそうです。

そうなると、2023年以降の司法試験や予備試験の会場は別の会場が用意されることになりそうですね。

各科目の反省点

以下、それぞれの科目に関する自分なりの反省点です。

憲法

答案の型は身についており、28条という奇抜な出題でしたが、しっかりと型に載せて論じることができました。

しかしながら、「争議行為」と「あおり行為」と「そそのかし行為」の3つに分解してしまったために時間が厳しくなってしまいました。「あおり行為」と「そそのかし行為」を一緒に論じていれば、もう少し充実した論述ができたかと思います。

「判例に言及」することが求められた問題だったので、公務員の争議行為に関する4要件と合憲限定解釈である「二重の絞り論」に触れろという出題者からのメッセージだと気がつきました。しかし、4要件のうち、2つほどしか現場で正確に思い出すことができませんでした。短答前はしっかりと記憶しているにも拘らず、論文ではこうした基本的な知識が不正確になってしまうのは改善しなければならない点です。

判例百選掲載レベルの判例の記憶の精度が甘いなと感じたため、判例百選の読み込みが必要だと感じました。

というわけで、試験後、判例百選を購入し、読み込むことにいたしました。

合格者の中には、判例百選不要論者の方もいらっしゃいますが、自分には判例百選が合っているようで、アガルートの総合講義のテキストに引用されている判旨を読んでもなかなか記憶に残らないのですが、百選だと不思議と定着するんですよね。

ですので、判例百選を使って勉強することにしました。

行政法

前年の反省を踏まえて詰めてきたつもりだったのですが、まだまだ力不足だったようです。特に行政法の基本的なことがわかっていなかったようで、トンチンカンな答案を書いてしまったと思います。

基本からもう一度やり直すことが必要だと考え、基本行政法を購入しました。

また、過去問だけをやって満足していましたが、もっと重問をやり込む必要があると思い、重問を繰り返すことにしました。

民法

生の主張から請求の根拠となる条文を示し、要件充足性を検討するという基本的な流れを意識しながら、問題となる要件で解釈論を展開するという姿勢を貫きました。

設問によっては、予備校が公開している解説と逆の結論を導きだしてしまいましたが、大幅に原点されるということはなかったようです。

設問2では、使用貸借だったことを現場では頭に入れていたにも拘らず、これを華麗にスルーして答案を書いてしまったことは反省しなければならないと思いました。

また、民法は一番好きな科目なのですが、中には基本的な論点であるにもかかわらず、「論文ではあまり出てほしくないな」と思う論点もあります。こうした論点を少しでも減らしていく学習が必要だと今回の受験を終えて感じました。

商法

もともと、仕事で会社法に触れていたことから、会社法にはそこまで勉強時間を割かなくても大丈夫だろうという慢心が今回の結果に繋がってしまったと深く反省しております。

あと、商法(とりわけ会社法)の演習を避けてしまう傾向があります。これは自覚していることで、大いに反省もしているのですが、避けてしまう理由は、会社法は引用する条文数が多く、答案を書くのが肉体的にキツイからということが一番の原因です。

条文を検索するだけであれば答案構成だけでもいいのですが、条文を使って答案を書くとなるとやはり答案を書かないことには筆力にはつながらないなとも思う次第でして…

そんなわけで、商法に関しても、行政法と同様、重問をやりこんで演習することにしました。

それから、正直なところ、今までの貯金でやってきた感が拭えません。ロースクールにも進学することですし、会社法も真面目にインプットすることにしました。

2021年に判例百選の新版が出たことですし、判例知識のアップデートを図ろうと思い、判例百選も購入しました。

民訴法

今年の民訴法の問題は、標準的な難易度の問題だと思いました。ですので、淡々と処理すれば守れると思い、そのような答案を書いたつもりだったのですが、あまり評価されませんでした。

民訴法は好きで、時間も割いている科目でもあるのですが、なかなか評価に結びつかず、伸び悩んでいる状況です。直前模試でも散々たる点数を叩き出してしまっております。

なぜ点数が伸びないのか、もう少し分析が必要そうです。

こうした状況ですので、現時点では対策が思い浮かばないので、従前同様、過去問と重問を中心にやろうと思っております。

民事実務

要件事実はしっかりと対策していったため、本番でも焦ることなく淡々と書くことができました。

ちなみに、要件事実の対策は、アガルートの総合講義1問1答をやりこみました。

もっとも、準備書面の問題は、説得的な論述をすることができず、自分でも「イマイチだな」と思っておりました。自分でもイマイチだと思ってしまう論述ですから、当然、読み手にも伝わってしまいます。

評価が伸びなかったのはこれが一番の原因だと分析しています。

準備書面をもっと訓練することが今回の反省点です。

また、

  • 要件事実に関する問題も年々難化傾向にあること
  • ロースクールでも要件事実は扱うこと

以上の理由から、今のうちに対策しておいて損はないなと思いまして、岡口裁判官が新しく出された要件事実に関する問題集も購入しました。

刑法

間接正犯の判断基準について、詰めが甘かったと思いました。基礎知識が不正確であることが反省点です。

また、設問2で「3つあげろ」となっていたところを2つあげて時間切れとなってしまい、途中答案となってしまったのが痛かったです。幸い、Fは免れましたが、処理能力の向上は、引き続き自分の課題だなと反省した次第です。

また、刑法は学説が錯綜しているので、予備校本も怪しかったりします。

そのため、論理矛盾を防ぐために使える基本書が必要だと思い、基本刑法を購入しました。

正直、もっと早く買っておけばよかったなと思いました。

刑訴法

問題文を読んだ際に、パッと捜索中に宅配便が届いた際に、その荷物についても捜索することができるか?という点が問題になった判例が浮かびました。

ですが、その判例をうまく答案上に示すことができませんでした。

原因について分析してみたところ、答案上では「場所」に対する捜索許可状が「物」に対する捜索にも及ぶか?という論点の延長で論じてしまい、捜索に着手した時点で存在していなかった物に捜索許可状の効力が及ぶかという出題趣旨からは外れた論述をしてしまいました。

このような論述では、「判例を理解していない」と評価されても仕方がありませんね。

刑事実務

刑事実務では時間不足に陥りやすいので、時間との闘いでした。焦ってしまったこともあり、検察官の推論に関する問題で、事実と証拠を全て使い切ることができませんでした。

答案構成の段階で、もっと素早く事実と証拠を関連づけられるように訓練する必要があるなと反省です。

選択科目

前述したように、選択科目は知的財産法を選びました。

選択科目導入元年ですので、どんな問題が出題されるかわかりません。ひとまず、司法試験の過去問をやっておこうと思い、2006年から2021年までの知的財産法の過去問を全てやってみました。

ただ、過去問に関して解説をしている市販の教材がなかったため、「1冊だけで知的財産法」に掲載されている再現答案と試験委員会が公表している出題趣旨、採点実感を読んで、どのようなことを書けばよいのか確認していました。

なんとか答案らしいことは書けるレベルにまで到達することはできたものの、本番で書いた答案は出題趣旨からは外れてしまっていたようで、評価は伸びませんでした。

試験後、LECの解説講義を受けた際に講師の先生が仰っていたのは、

いずれも判例百選に掲載されているレベルの判例をベースにした問題であるから、判例百選を潰していくことが必要であろう。

とのことでした。

そういえば、先に紹介した採点実感でも判例百選に掲載されているような裁判例(事件名がついているもの)が挙げられていたのを思い出しました。

解説講義を受けた時点では、既に特許法、著作権法いずれの判例百選も購入済みでしたが、当初判例六法だけで済ませようとしていたことを深く反省しました。

さいごに

以上、2022年の論文式試験を振り返ってみました。

試験後、一応再現答案は作成したのですが、「再現答案を作成済み」と思い込んでいた科目が一部あったため、全ての答案を再現することはできませんでした。

ですが、2021年は再現不可能な答案を書いてきてしまったことに比べれば、再現可能な答案を書けるレベルにまで上がっていたのだとポジティブに捉えています(苦笑)。

とはいえ、まだまだ合格にはほど遠いレベルですので、合格に近づけるよう積み重ねていくだけだと思っています。

また、来年春からはロースクールに進学するので、同期のロー生と答案を見せ合ってコメントをもらったり、先生方に見てもらったりして研鑽を積めればいいなと思っております。

2022年、ありがとうございました。

そして、2023年もよろしくお願いします。

それでは!