先日、質問箱に寄せられた行政書士試験関連の質問とそれに対する回答を紹介いたしました。
まだまだ頂いた質問がありますので、その質問と回答を紹介してまいります。
というわけで、本稿は質問と回答のとりまとめ第三弾の記事となります。
行政書士試験に関する質問
今回も5つ、質問と回答を紹介させて頂きます。
なお、試験も迫ってきておりますので、残りの質問とそれに対する回答も可及的速やかに紹介いたします。
それではどうぞ!
質問11
回答11
記述対策も択一対策になると思います。というのも、条文を覚えていないと記述は書けないですし、条文(定義、趣旨、要件、効果)を覚えることは択一対策にも繋がりますので。
対して、択一対策だけで記述が書けるようになるというのは難しいかと思います。先ほど、条文(定義、趣旨、要件、効果)を覚えることは記述対策にも択一対策にもなると書きましたが、記述は択一と違って自分で文字に起こす必要があります。つまり、択一対策の勉強法は、問題文を見た時に、選択肢の正誤を判断できれば正答を導き出すことができますが、記述はそれでは点数をもらえません。
このような特性からすると、過去問演習を中心に択一の勉強をしていると、選択肢の正誤の判断がつけられるような勉強法に陥りがちになってしまいます。(これは自分もそうでした。)
一通り記述の対策はした、あるいは、記述を意識して択一対策をできる、ということであれば、択一対策だけでも良いかと思いますが、そうでない場合には対策をしておいた方がよいかと思います。
もう8月も終わりですので、記述の対策を始めるタイミングかと思います。
まずは択一対策が記述対策の勉強にもなるか?という質問でした。
それに対する回答は上記の通りです。全く記述を解いたことがない、あるは記述の演習量が十分でないという方は、択一対策だけやっていたのでは難しいかと思いますので、書く訓練はしておいた方がよいと思います。
質問12
回答12
全く歯が立たないということはないと思います。
確かに、昨年の試験では過去問で出題されたことがあるかどうか不明なテーマが出題されました。(問題30の選択債権や問題34の過失論)
これらの問題は過去問だけ勉強していたという受験生には正答を導き出すのはなかなか厳しかったのかなと思います。
ですが、問題27の制限行為能力者や問題28の占有改定、問題32の同時履行の抗弁件は過去問でもよく問われているテーマでしたし、問われている内容も基本的なレベルの問題でしたので全く歯が立たないということはないかと思います。
民法は範囲が広く分量も多いので苦手意識が生まれやすい科目だと思いますが、出題される分野や論点はメジャーなものが多いですし、先ほども書きました通り、問われている難易度も基本的なものが多いです。
ちょっと脱線しますが、民法という科目の特徴かもしれませんが、似ている制度を比較させる問題が出題されやすいと思いますので、Aランクのものだけを学習するにしても日頃から比較することを頭に浮かべながら勉強すると民法に強くなれると思います。
例えば、制限行為能力制度(成年被後見人、被保佐人、被補助人、未成年)の比較、同時履行の抗弁と留置権の比較、債権者代位権と詐害行為取消権の比較、賃貸借と使用貸借の比較、請負と委任の比較などです。
ですので、問題を解いている最中や復習の際に、あの制度の場合はどうだったっけ?とついでに勉強しておくと、より学習効果が高まると思います。
行政書士受験生のTwitterを見ておりますと、民法で苦戦している方と行政法で苦戦している方が8割超で、比率は6対4くらいかなという印象です。
民法は範囲も広く、安定して得点ができるようになるまで時間がかかるので苦手意識を持ちやすい科目のようです。(かくいう自分も旧司時代の初学者の頃はそうでしたが。)
民法は範囲が広いので、質問者様のように、必要以上に不安を抱いてしまうのかもしれません。が、回答にも書かせていただきました通り、出題される分野や論点はメジャーなものが多いので、全ての条文をマスターしようなどと思わないことがコツです。民法の勉強のコツは、まずは幹の部分(Aランク)をしっかりと覚えて、そこから枝(Bランク)、葉(Cランク)と広げていくようにしていけばいいのです。
質問13
回答13
過去問知識だけで挑むよりは民法を理解して挑んだ方が点数には結びつきやすいと思います。
というのも、過去問では問われたことがない問題が出題されれば、対応できないですよね。
ただ、難問奇問が出題されるかというとそんなことはなくて、基本(定義、趣旨、要件、効果)をしっかりと押さえていれば解けるレベルの問題が出題されていると思います。(時々マイナーな分野が出題されることもありますが…)
過去問学習の趣旨を勘違いしないように気をつけなければいけません。過去問で出題された知識をマスターしなければならないのは最低限のことで、その周辺知識でも基本的な知識はあります。その基本をしっかりとマスターしておけば、本番でも闘えると思います。
逆に言えば、それでも答えが導き出せない問題というのは差がつきません。他の受験生もできないと思って大丈夫です。
脱線いたしますが、模試を受験すると、各問題の正答率が個人成績表とともに渡されます。
正答率が2〜3割程度の問題は復習の優先度を低くして大丈夫です。
正答率5割以上の問題で自分が間違えてしまった問題は要注意です。しっかり復習をするようにしましょう。
質問14
回答14
点数のとりやすさで言ったら地方自治法です。
行政法、民法で満点、商法会社法で4問正解とれるのであれば、その作戦も良いかと思います。
近年の憲法は難易度が高いので、点が取りにくくなっています。対して、地方自治法はなかなか手が回りにくいとはいえ、問題の難易度は憲法に比べれば容易だと思っています。
ですので、形式的に質問に答えるならば、上記の通り地方自治法と回答いたしました。
しかしながら、受験政策としては賢明ではないので、憲法に時間を割くべきというのが実質的な回答です。
憲法は択一でも、多肢選択式でも出題されます。すなわち、憲法を全く勉強しないというのは、これらを全て捨てるということになります。地方自治法なんてせいぜい五肢択一で一問出題されるかという程度です。
憲法を丸々捨てるということは、その他の科目で他の受験生よりも点数を稼がなければならないということです。これは非常にしんどいです。
質問15
回答15
条文問題なら十分だと思いますが、判例問題は辛いかもしれません。というのも、判決理由を入れ替えて問うてくる問題があるので、判旨をしっかり押さえていないと正誤判断がつかない問題もあります。
と、このように書きましたが、憲法は量も少ないので、AランクだけでなくてBランク以下も勉強した方がいいと思います。
Aランクだけ身につけたとして、本試験の問題を解いたとしても全く歯が立たないというわけではないと思いますが、合格できるかどうかはまた別問題だと思いますので、厳しい結果になってしまうかと…
民法や行政法の分量が多いので、憲法で少しでも楽をしたいという気持ちもわかりますが、合格可能性を高めたいのであればやった方がよいかと思います。
さいごに
というわけで、第三弾の質問と回答を紹介いたしました。
前稿でも書きましたが、ここで紹介した方法が絶対というわけではありません。参考程度に読んでいただければと思います。
それから、行政書士試験に関して質問したいという方がいらっしゃいましたら、お気軽にご質問頂ければと思います。
ブログにコメントを頂いても構いませんし、匿名で質問したいというシャイな方は質問箱からでも結構です(笑)
行政書士試験に比べたら4分の1程度ではありますが、最近では予備試験の短答試験に関してもご質問をいただく機会が増えてきました。
予備試験に関してもお答えできることでしたら可能な限りお答えしております。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
それでは!